この記事は,Aidemy が実装を検討している4つの機能の案を記したものです.これらを実装する計画は確定しておらず,まだアイデアの段階であるとの前提でお読みいただければ幸いです!
多方面からの反響を募るため、技術戦略をブログで公開
まず始めに,なぜアイデア段階の機能案を記事化するかについて簡単に説明します.その答えは,Aimdey 開発者ブログ alms.dev で2021年10月に公開した記事にあります.重要な箇所を引用します.
課題に対する解決策をリーンの考え方に基づいて迅速にプロトタイピングする.コード書いてシステムを作るとかじゃなく,ペーパープロトタイプでもいいと思うので,それを持って実際にお客様にぶつけて,ご意見を伺う.
Aidemy はユーザの課題を解決するツールとして,ユーザが既に意識している課題に加え,まだユーザが明確には意識していない課題にも,先回りして解決策を提供していこうとするポリシーを採っています.
以下で紹介する4つの機能案で実際のユーザの課題を解決できるかを,実装の前にユーザにお伺いし,フィードバックを頂きたいと考えています.まだペーパープロトタイプですらない,もっと素朴なアイデアの段階ですが,これが機能の案を記事化する目的です.
議案 1 - チーム内の会話を促すフォーラム (掲示板) の設置
Aidemy で学習する人同士が簡単に情報交換ができるようにする機能を検討しています.フォーラム (掲示板) の設置により,2つの効果が期待できると考えています.
1つめは,ユーザ同士の教え合いが発生することによる学習効果の向上です.ラーニングピラミッド (Wikipedia) が示唆する通り,学習の効果は単に教材と向き合っているときだけでなく,人に教えるときにも期待できます.また教え合いが盛んに行われることは,組織文化としても好ましい状態です.
2つめの期待は,チューターの質疑応答で得られた知見が1箇所に集積していくことです.フォーラムがあることで,Aidemy を使い込むほどに情報が包括的になっていくことが期待できます.現行の仕様では,教材に関するユーザの質問に対し,チューターはメールなどの Aidemy 外の手段で回答しています.
議案 2 - 事業ドメインの専門知識を共有する独自教材の掲載
ユーザが独自に獲得した知見を文書化し,事業に固有の知見を社内で共有する機能の実装を検討しています.
独自教材を掲載する機能は,業務を通じて得られたユーザ固有の学びや知見を振り返って体系化し,ユーザ同士で共有するための機能です.実はこの機能は,すでに10%を超えるチームで特別仕様として提供されています.これを標準仕様として整備し,すべてのチームで利用可能にすることを検討しています.
本機能はユーザ自身による「事業ドメインの専門知識」の体系化を支援します.「事業ドメインの専門知識」とは Aidemy の代表 石川が NewsPicks の記事で使用した言葉です.2020年の取材で石川は「事業ドメインの専門知識と AI の技術の基礎知識の2つの掛け合わせが必要だ」と述べ,Aidemy が強みを持つ「AI の技術の基礎知識」と並ぶ重要事項として言及していました.
議案 3 - DX 動向をベンチマークするコース関連ニュースの表示
「このコースで学べる知識や技術は,どんな業務で役に立つのか?」といった疑問の答えを具体的に示すための機能を検討しています.
これは Aidemy のコース学習画面にニュースフィードを設置し,そのコースで扱う技術の応用事例を表示しようというアイデアです.コースの学びを単なる座学に終わらせず,実際の業務でどのように活用するかを,学習の時点から意識できるようになることを期待しています.
他社の事例をベンチマークすることは,学習時点の意欲形成に留まらず,他の多くの場面でも有効です.例えば先行事例を指針とすることで DX の計画を明確化できますし,関係者への説明も「他社はこのように取り組んでいます」と説得力を向上することも期待できます.
議案 4 - 現仕様から飛躍する先端的な機能拡張の可能性
Aidemy がサービスとして本当に備えているべき機能とは何かを,幅広に検討を進めています.可能な案は無数にありますが,ここでは3つの例を示します.
1つは LMS (Learning Management System) としての機能拡張です.Aidemy の利用者が R&D 部門の方だけに留まらず,人事や経営層にも広がっていくにつれて,学習成果の管理へのニーズが高まっているとの仮説を立てています.
もう1つは SSO (Single Sign-On) の実装です.Aidemy のユーザがそれぞれ個別にパスワードを管理する負担を軽減し,また他サービスとの連携も容易になることを期待しています.
最後の1つはタレントマネジメント (Wikipedia) の機能開拓です.組織に必要な人的資本の確認や予測,そのための計画立案は,Aidemy での研修成果を取り込んで反映することでより精緻で具体的になります.これにより全く新しい付加価値を Aidemy が提供できると考えています.
JIS Q 9001 - 品質の継続的改善を PDCA 循環で実現する標準規格
これらの4つの案は,取り留めなく思い付くままに検討しているのではなく,全体として1つの大きな体系をなすように構想しています.その体系とは,強固に確立された継続的品質改善の枠組み「PDCA サイクル」です.
既に人口に膾炙した PDCA サイクルですが,これが日本産業規格 JIS Q 9001 で具体的かつ詳細に定義されていると知っている人は多くないかもしれません.現行の Aidemy がサポートしている「学習」とは,無い技能を補って身につける活動であり,PDCA の Act (改善) に該当します.継続的に品質改善を行うためには Plan / Do / Check の活動も欠かせません.
タレントマネジメント機能は Plan (計画) を,独自教材の掲載は Check (評価) を,フォーラムや事例ベンチマーク機能は Act (改善) を,それぞれサポートします.PDCA の活動を Aidemy が機能として包括的にサポートすることで,ユーザによる製品と組織の継続的改善が自ずと JIS 規格に準拠し,強力かつ堅実に推進されることを期待しています.